TOPPERS/ASP - AVR32版 概要
ちょっとしたデバイス作成に、業務に趣味にと大人気のMicrochip社の8bitマイコン「AVR」。
そのAVRマイコンに32bit版があったなんてご存知でしたか?
今回取り上げるのは、その「AVR32」です。
詳細は英語にはなりますが、このページを御覧ください。
かつては「AP7」と「UC3」の二種類のコアを販売していました。
「AP7」は、いわゆるアプリケーション・プロセッサーというべきもので、Linuxも動作するほどの高い性能を持っていました。
一方の「UC3」は、マイクロプロセッサー、いわゆるマイコンと呼ばれるカテゴリーに属します。
今回取り上げるのもこの「UC3」の方です。
ARMでいうところの「Cortex-A」コアが「AP7」に、「Cortex-M」コアが「UC3」に相当すると思えばイメージし易いですかね?
共にAtmel社の独自設計、8bitのAVRとは全く異なる設計思想の32bitRISCコアとなります。
このAtmel社が辿った運命、この記事でも触れましたが、PICマイコン擁するライバルのMicrochip社に買収されてしまいます。
Microchip社もPIC32(このカーネルもそのうち公開予定)などの32bitマイコンを販売しており、この統合によってこのAVR32は淘汰されてしまいました。
現在Microchip社では、新規設計非推奨の扱いとなっています。
どっかで似たような話を最近書いたような…?
結局、Microchip社のPIC32も思うように販売が伸ばせず、ARMコアの製品ラインを展開することとなります。
歴史の闇に沈んでいったAVR32。
あまり市場に受け入れられなかったのは事実ですが、実際に扱ってみると相当に優れた設計であることが分かりました。
このまま埋もれさせるのは惜しい…。
そこで、この不幸なAVR32に「μITRON4.0」準拠のRTOS(リアルタイムOS)であるTOPPERS/ASPを移植してみました。
せめてもの供養…。
もしかしたら、RTOSがあれば使ってくれる人もいるかもしれない!…そんな思いです。
新規設計非推奨の扱いではありますが、それは仕事で使う上での問題。
市場在庫分を購入して、趣味で使う分には、まだまだ有力なマイコンであると言えます。
その証拠に、秋月電子通商さんでは、AVR32は3種類も!在庫が豊富な状態で販売されています。
もはや投げ売りです!
特に「AT32UC3B0512」の場合は、同じような性能のSTM32だったら多分1,000円くらいしちゃうと思います。
…まあ、パッケージがQFPなのでハンダ付けは難しいですが。
昨今の半導体不足で入手困難なARM系マイコンの代打として、悲劇のマイコンAVR32の無念を晴らすため(そして僕らの強い味方、秋月電子通商さんの不良在庫処分のため!)、このマイコンで電子工作はいかがですか?
必要なもの
まずは、今回のターゲットとなる「AT32UC3A3-XPLD」です。
こちらでは、まだまだ入手可能です!
6,000円くらいです。
次に、デバッガです。
「Atmel-ICE」っていいます。
秋月電子さんで16,800円ですね。
高い!…と思われるかもしれませんが、これ一台あるとAtmel系は今回のAVR32やAVRの8bitのシリーズ、SAM(ARM)シリーズのデバッグも出来ちゃいます。
Microchip社のマイコンの中でもAtmel系のシリーズを普段お使いの方は買っておいて損はないですよ。
とはいえ、躊躇する値段ですよね…。
ダウンロード/GitHub
ソースコードの入手は、こちらからどうぞ。
とは言っても、このソースコードをダウンロード、もしくは「git clone」しても、絶対にビルドが通りません。
このソースコードは未完成です。
なぜなら、Microchip社のドライバを後から付け加える必要があるんです。
そのMicrochip社のドライバのライセンスの条項が理解に難しく、公開、および再配布しない方が無難と判断したためです。
ですので、今後この記事では、それらのソースコードの入手方法やコピーする場所などを事細かに書いていくつもりです。
すご~く面倒ですが、お付き合いしていただけると嬉しいです。
ビルドは、まだやっちゃダメですよ~。
このカーネルも実装からかなり時間が経っているので色々忘れてます。
思い出しながら、不足しているソースコードのコピー、開発環境の構築やビルド方法を書いていきたいと思います!
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