2024年8月18日日曜日

BSD 2-Clause License

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名称:「二条項BSDライセンス」(BSD-2-clause)


BSDライセンス・ロゴ


タイプ:

・コピーレフト…×

・ライセンス文の掲示…〇

・コピーライト(著作権)の掲示…〇

・その他…×


原文:


  • Copyright (c) <year>, <copyright holder>
  • All rights reserved.

  • Redistribution and use in source and binary forms, with or without
  • modification, are permitted provided that the following conditions are met:
  • 1. Redistributions of source code must retain the above copyright notice,
  •    this list of conditions and the following disclaimer.
  • 2. Redistributions in binary form must reproduce the above copyright notice,
  •    this list of conditions and the following disclaimer in the documentation
  •    and/or other materials provided with the distribution.

  • THIS SOFTWARE IS PROVIDED BY <COPYRIGHT HOLDER> ''AS IS'' AND ANY
  • EXPRESS OR IMPLIED WARRANTIES, INCLUDING, BUT NOT LIMITED TO, THE IMPLIED
  • WARRANTIES OF MERCHANTABILITY AND FITNESS FOR A PARTICULAR PURPOSE ARE
  • DISCLAIMED. IN NO EVENT SHALL <COPYRIGHT HOLDER> BE LIABLE FOR ANY
  • DIRECT, INDIRECT, INCIDENTAL, SPECIAL, EXEMPLARY, OR CONSEQUENTIAL DAMAGES
  • (INCLUDING, BUT NOT LIMITED TO, PROCUREMENT OF SUBSTITUTE GOODS OR SERVICES;
  • LOSS OF USE, DATA, OR PROFITS; OR BUSINESS INTERRUPTION) HOWEVER CAUSED AND
  • ON ANY THEORY OF LIABILITY, WHETHER IN CONTRACT, STRICT LIABILITY, OR TORT
  • (INCLUDING NEGLIGENCE OR OTHERWISE) ARISING IN ANY WAY OUT OF THE USE OF THIS
  • SOFTWARE, EVEN IF ADVISED OF THE POSSIBILITY OF SUCH DAMAGE.


日本語訳:


  • Copyright (c) <年>, <著作権所有者>
  • All rights reserved.

  • 以下の条件が満たされる場合、修正の有無にかかわらず、
  • ソースおよびバイナリ形式での再配布および使用が許可されます:
  • 1. ソース コードを再頒布する場合は、上記の著作権表示、このライセンス文、
  •    および下に記述する免責事項を保持する必要があります。
  • 2. バイナリ形式で再頒布する場合は、上記の著作権表示、このライセンス文、
  •    および下に記述する免責事項を、頒布物とともに提供されるドキュメントおよび/または
  •    その他の資料に転載する必要があります。

  • このソフトウェアは、<著作権所有者>によって「ありのまま」で提供され、
  • 明示的か黙示的かを問わず、商品性および特定目的への適合性の暗黙の保証を含む、
  • またそれらに限定されない、いかなる保証もしません。
  • いかなる場合も<著作権所有者>は契約に沿った行為か否かを問わず、
  • 損害発生の原因如何を問わず、
  • かつ責任の根拠が契約か厳格責任か(過失その他の)不法行為か否かを問わず、
  • 仮にそのような損害が発生する可能性を知らされていたとしても、本ソフトウェアの使用によって発生した
  • (代替品または代用サービスの調達、使用の喪失、データの喪失、利益の喪失、業務の中断も含む、またそれらに限定されない)
  • 直接損害、間接損害、偶発的な損害、特別損害、懲罰的損害、または結果損害について、
  • 一切責任を負わないものとします。


解説:

BSDライセンスと呼ばれるものは、コピーレフトではないオープンソース・ライセンスの中では最もメジャーなライセンスです。

これにはいくつかの種類がありますが、この「二条項BSDライセンス」はその中でも非常に寛大な(緩い)ライセンスです。

ライセンスの内容は、要するに、著作権表示とライセンス文さえ掲示してくれれば改変だろうが商用だろうが自由にやってください、でも<著作権所有者>は一切責任は取りませんよ~というものです。

制約的にはMITやISCライセンスと異なるところはなく、少々回りくどい言い方をしているだけの違いです。

これよりも一段階だけ厳しい「三条項BSDライセンス」との違いは「 <著作権者>の名前もその貢献者の名前も、書面による事前の特別な許可がない限り、このソフトウェアから派生した製品を広報または宣伝するために使用することはできない」という条文が削除されている点のみです。


適用例:

「三条項BSDライセンス」と同様、非常に数多くのソフトウェアに適用されています。


頒布のために執るべき行動:


ソースコード頒布の場合:

ライセンス条文1により、ソースコードの改変の有無に関わらず、冒頭に記述されるこのライセンス文をそのまま改変することなく配布しましょう。

また同条文によるコピーライト(著作権)は、上記を守ることによって自動的に条件が満たされます。


バイナリ頒布の場合:

ライセンス条文2により、このライセンス文を掲示する必要があります。

また同条文により、ライセンス文の先頭に記述されているコピーライト(著作権)を掲示する必要があります。

これらの掲示は、このライセンスのソフトウェアを含む製品の取扱説明書やWebページなど、必ず容易にユーザーの目に触れる形で記述しましょう。


その他:

特になし。

2024年8月11日日曜日

ISC License

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ライセンスの目次はこちらです。


 名称:「ISCライセンス」


ISC logo


タイプ:

・コピーレフト…×

・ライセンス文の掲示…〇

・コピーライト(著作権)…〇

・その他…×


原文:


  • Copyright (c) <year>, <copyright holder>
  • .
  • Permission to use, copy, modify, and distribute this software for any
  • purpose with or without fee is hereby granted, provided that the above
  • copyright notice and this permission notice appear in all copies.
  • .
  • THE SOFTWARE IS PROVIDED "AS IS" AND ISC DISCLAIMS ALL WARRANTIES
  • WITH REGARD TO THIS SOFTWARE INCLUDING ALL IMPLIED WARRANTIES OF
  • MERCHANTABILITY AND FITNESS. IN NO EVENT SHALL ISC BE LIABLE FOR
  • ANY SPECIAL, DIRECT, INDIRECT, OR CONSEQUENTIAL DAMAGES OR ANY DAMAGES
  • WHATSOEVER RESULTING FROM LOSS OF USE, DATA OR PROFITS, WHETHER IN AN
  • ACTION OF CONTRACT, NEGLIGENCE OR OTHER TORTIOUS ACTION, ARISING OUT
  • OF OR IN CONNECTION WITH THE USE OR PERFORMANCE OF THIS SOFTWARE.


日本語訳:


  • Copyright (c) <年>, <著作権所有者>
  • .
  • 本ソフトウェアを使用、複製、改変、及び/または頒布する権利は、いかなる目的においても
  • 有償・無償を問わず、本許諾によって付与されます。
  • ただし、上記の著作権表示及びこのライセンス文が全ての複製物に記載されていることを条件とします。
  • .
  • 本ソフトウェアは「ありのまま」で提供され、
  • <著作権所有者>は、販売可能性及び適合性に関するあらゆる暗示的保証を含む、
  • 本ソフトウェアに関する全ての保証を放棄するものとします。
  • いかなる場合も、契約に沿った行為の如何を問わず、
  • 過失またはその他の不法行為であるかにかかわらず、
  • 本ソフトウェアの使用または操作が原因で発生した使用不能損失、
  • データまたは利益の損失に起因するあらゆる特別、直接的、間接的、
  • または派生的な損害について著作者は一切の責任を負いません。


解説:

1995年という大昔にISC(Internet Systems Consortium)というNPO法人が策定したライセンスです。

基本的に、BSDライセンスの中でも「二条項BSDライセンス」と呼ばれるものと内容は同一であり、ライセンス条文の文言をシンプルにしただけと捉えることができます。

ライセンスの内容は、要するに、著作権表示とライセンス文さえ掲示してくれれば改変だろうが商用だろうが自由にやってください、でも<著作権所有者>は一切責任は取りませんよ~というものです。

このような寛容なライセンスの類としては、BSD、MITなどのライセンスと並び最もメジャーなものの一つであり、古いライセンスにも関わらず現在でもよく見かけます。


適用例:

そもそもISCがこのライセンスを策定する切っ掛けとなった「bind」や「dhcp」など、更には「git」などの比較的新しいソフトウェアまで、広く適用されています。


頒布のために執るべき行動:


ソースコード頒布の場合:

ソースコードの改変の有無に関わらず、冒頭に記述されるこのライセンス文をそのまま改変することなく配布しましょう。

また同条文によるコピーライト(著作権)は、上記を守ることによって自動的に条件が満たされます。


バイナリ頒布の場合:

このライセンス文を掲示する必要があります。

また同条文により、ライセンス文の先頭に記述されているコピーライト(著作権)を掲示する必要があります。

これらの掲示は、このライセンスのソフトウェアを含む製品の取扱説明書やWebページなど、必ず容易にユーザーの目に触れる形で記述しましょう。


その他:

特になし。

2024年6月30日日曜日

TOPPERS/ASP - Arduino UNO R4版 その8

前回からの続きです。

このテーマを最初からご覧になる場合はこちらからどうぞ。


「e2 Studio」で普通にFSPを使う

さて、これまでにも何回か言及している通り、この「TOPPERS/ASP Arduinp UNO R4版」を使った「Arduino」は、もはやArduinoではありません。

便利な「Arduino IDE」も使えませんし、豊富なArduino用のライブラリも使えません。

つまり、安価なRenesas RAマイコン評価ボードになってしまったとも言えます。

しかし、単にライブラリという意味では「Arduino IDE」ではなく「e2 studio」を使用した開発でもFSP(Flexible Software Package)が使用できます。

このFSPについては、過去記事を参照してください。

FSPをうまく利用すれば、Arduino用のライブラリとまでは言えませんが、RAマイコンの持つ色々な機能をライブラリとして利用したソフトウェアを楽に開発できます。

いきなり「TOPPERS/ASP Arduinp UNO R4版」上でFSPを使うのは少々ハードルが高いです。

ですので、今回は、OSレスでフツーにFSPを使用する方法をご紹介します。

そのためには、以前作成した「Hinagata」プロジェクトを「e2 studio」で開きます。

んなもんとっくに消しちゃったよ~って方は、コチラを参考に再度作成してください。

「e2 studio」 - 1


今回は、この「Hinagata」プロジェクトでFSPを使用して、シリアル通信ポートを使えるようにライブラリを追加しましょう。

どのピンにシリアルポートを割り当てましょうか?

シリアル通信には、TXD(送信)、RXD(受信)、GNDの計3本の線が必要です。

GNDは適当で良いとして…、TXD(送信)、RXD(受信)は、以下の回路図のピンを使用することにしましょう!

回路図


絵にすると、以下の通りです。

Arduino UNO R4


これで…

SCI2」というシリアルポートの送信(TXD)信号を「P302」というポートに

SCI2」というシリアルポートの受信(RXD)信号を「P301」というポートに、それぞれ設定すれば良いことが分かります。

これを「e2 studio」で「Hinagata」プロジェクトに設定すればよいのですが、マイコンのピンを機能に割り付ける作業は、実は以前の記事で行っています。

その時に、今回使用する「P302」も「P301」も「SCI2」というシリアルポートで使用できるように既に設定されています。

したがって、残りの作業はシリアル通信のライブラリを設定することだけです!

「e2 studio」の左側の「プロジェクト・エクスプローラー」で「Hinagata」プロジェクト以下に「configuration.xml」というファイルがありますので、これをダブルクリックしてください。

すると、画面中央には「[Hinagata]FSP Configuration」というタブが追加されると思います。

「e2 studio」 - 2

次に、開いた「[Hinagata]FSP Configuration」タブの下にもいくつかのタブがありますので、この中から「Stacks」というタブをクリックします。

以下のように、なにやら「HAL Common Stacks」と題された表示に切り替わります。

「e2 studio」 - 3


この画面で必要なスタック…ライブラリとかドライバを追加していきます。

今回はシリアル通信、すなわちUARTのスタックを追加すれば良いわけですね。

HAL Common Stacks」という表示の右側に「New Stack >」というボタンがありますので、これをクリックするとメニューが表示されます。

メニューの中から「Connectivity」を、更に展開されるメニューで今回のお目当てである「UART(r_sci_uart)」を順にクリックします。

「e2 studio」 - 4


すると、以下のように「HAL Common Stacks」の表示が切り替わり、UARTスタックが追加されたことが分かります。

追加されたUARTスタックですが、デフォルトのままでは都合が悪いので、プロパティをいじらないとなりません。

それには「[Hinagata]FSP Configuration」タブの下のビューの中の「プロパティー」タブをクリックします。

「e2 studio」 - 5


以下は、分かりやすいように拡大した「プロパティー」タブです。

ここには、追加されたUARTスタックの各種設定が表示されています。

これらの中から以下の項目を変更します。

前述した通り、今回は「SCI2」というシリアルポートを使用したいので、それに沿った変更を行います。


Name:g_uart2

Channel:2

Callback:uart2_callback

「e2 studio」 - 6


次に、以下の項目を確認しておきます。

ボーレートが115200bpsに設定されていることは、覚えておきましょう。

また、こちらも前述の通り、送信(TXD_MOSI)信号が「P302」というポートに、受信(RXD_MISO)信号が「P301」というポートに、それぞれ設定されていることを確認します。


Baud Rate:115200

TXD_MOSI:P302

RXD_MISO:P301

「e2 studio」 - 7


オッケー。

じゃあ、この状態でUARTスタックを追加した新しい「Hinagata」プロジェクトのソースコードを出力しましょう。

メインビューの「[Hinagata]FSP Configuration」タブの右上にある「Generate Project Content」ボタンをクリックします。

「e2 studio」 - 8


こんなポップアップが出たら「続行」ボタンをクリックで。

そういや、UARTスタックの追加とかプロパティの変更とか、保存してなかったや…。

「Generate Project Content」ポップアップ


処理が終わると、UARTスタックが追加された「Hinagata」プロジェクトが出来上がっているはずです。

試しに画面左側の「プロジェクト・エクスプローラー」で「ra_gen」ディレクトリ以下の「hal_data.c」をダブルクリックして、ソースコードを見てみましょう。

ソースコードの中にUARTスタックのプロパティで設定した「g_uart2」という文字列がいくつか確認できますね?

「e2 studio」 - 9


更に、新しい「Hinagata」プロジェクトのソースツリーの中には「uart」と記述されたソースコードやヘッダファイルがいくつも見つかります。

これらが追加されたUARTスタックの本体です。

「e2 studio」 - 10


さて、UARTスタックを手に入れた新しい「Hinagata」プロジェクトですが、これをビルドして動かしても何も起こりません。

UARTスタックを使う…すなわちシリアル通信を行うアプリケーションを実装しないと本当に正しく動くのか分かりませんよね?

というわけで、簡単なプログラムを実装して動作確認をしてみましょう。

プログラムを記述するのは「src」ディレクトリ以下の「hal_entry.c」です。

さっそく開いてみましょう。

「e2 studio」 - 11


この「hal_entry.c」ファイルに、以下のように「received」というフラグと「uart2_callback()」という関数を記述します。

  1. #include "hal_data.h"
  2. FSP_CPP_HEADER
  3. void R_BSP_WarmStart(bsp_warm_start_event_t event);
  4. FSP_CPP_FOOTER
  5. // ここから ----------------------------------------------------------------
  6. volatile bool recieved = false; // 受信完了フラグ
  7. void uart2_callback(uart_callback_args_t *p_args)
  8. {
  9.     if (p_args->event == UART_EVENT_RX_COMPLETE) {
  10.         // 受信が完了したら「r_sci_usrt.c」ファイルの
  11.         // 「sci_uart_rxi_isr()」割り込みハンドラからここに来る
  12.         recieved = true;
  13.     }
  14.     if (p_args->event == UART_EVENT_TX_COMPLETE) {
  15.         // 送信が完了したら「r_sci_usrt.c」ファイルの
  16.         // 「sci_uart_tei_isr()」割り込みハンドラからここに来る
  17.     }
  18.     if (p_args->event == UART_EVENT_RX_CHAR) {
  19.         // 一文字受信したら「r_sci_usrt.c」ファイルの
  20.         // 「sci_uart_rxi_isr()」割り込みハンドラからここに来る
  21.     }
  22.     if (p_args->event == UART_EVENT_ERR_FRAMING) {
  23.         // フレーミングエラーを検出した時に「r_sci_usrt.c」ファイルの
  24.         // 「sci_uart_eri_isr()」割り込みハンドラからここに来る
  25.     }
  26.     if (p_args->event == UART_EVENT_BREAK_DETECT) {
  27.         // ブレークを検出した時に「r_sci_usrt.c」ファイルの
  28.         // 「sci_uart_eri_isr()」割り込みハンドラからここに来る
  29.     }
  30.     if (p_args->event == UART_EVENT_TX_DATA_EMPTY) {
  31.         // 送信バッファが空になった時に「r_sci_usrt.c」ファイルの
  32.         // 「sci_uart_txi_isr()」割り込みハンドラからここに来る
  33.     }
  34. }
  35. // ここまで ----------------------------------------------------------------
  36. /*******************************************************************************************************************//**
  37.  * main() is generated by the RA Configuration editor and is used to generate threads if an RTOS is used. This function
  38.  * is called by main() when no RTOS is used.
  39.  **********************************************************************************************************************/
  40. void hal_entry(void)
  41. ...


お次は、その下の「hal_entry()」内に以下のコードを加えます。

  1. /*******************************************************************************************************************//**
  2.  * main() is generated by the RA Configuration editor and is used to generate threads if an RTOS is used. This function
  3.  * is called by main() when no RTOS is used.
  4.  **********************************************************************************************************************/
  5. void hal_entry(void)
  6. {
  7.     /* TODO: add your own code here */
  8.     // ここから ----------------------------------------------------------------
  9.     uint8_t c;
  10.     // シリアル通信を開く
  11.     R_SCI_UART_Open(&g_uart2_ctrl, &g_uart2_cfg);
  12.     while (1) {
  13.         // 受信する
  14.         R_SCI_UART_Read(&g_uart2_ctrl, &c, 1);
  15.         // 受信するまで待つ
  16.         while (!recieved);
  17.         // 受信完了フラグをリセットする
  18.         recieved = false;
  19.         // 受信した一文字を送信する
  20.         R_SCI_UART_Write(&g_uart2_ctrl, &c, 1);
  21.     }
  22.     // ここまで ----------------------------------------------------------------
  23. #if BSP_TZ_SECURE_BUILD
  24.     /* Enter non-secure code */
  25.     R_BSP_NonSecureEnter();
  26. #endif
  27. }


なにをやっているのか?…というのは、まあ、コメントに書いた通りなのですが。

まず、追加した「uart2_callback()」というのは、コールバック関数というもので、チャンネル2のシリアルポートに割り込みが発生した場合に処理が飛んでくる関数です。

「uart2_callback」という名称については、UARTスタックを追加した時「callback」プロパティで設定しましたよね?

で、割り込みが発生して「uart2_callback()」関数が飛んできて、その中で「p_args->event」変数の内容を調べて、それが受信完了割り込み…すなわち「UART_EVENT_RX_COMPLETE」というフラグを含んでいた場合は、冒頭で定義した「received」変数を「true」にする…という処理をしています。

割り込みには受信完了のほか、送信完了やエラー発生など、色々なものがあります。

上記の例では、ご丁寧に受信完了以外の条件分岐も記述されていますが、何も実装していないし、今回は受信完了割り込みしか使わないので、面倒だったらそれ以外のif文は省いてオッケーです。


さて、次に「hal_entry()」です。

これは、最初から実装されている関数です。

C言語のプログラムは、一般的に「main()」という関数から処理が始まります。

しかしながらFSPでは、その役割は「hal_entry()」が担っています。

とはいえ、これはFSPのお作法というか…実際「Hinagata」プロジェクトのソースツリーの中にも「main.c」ファイルが存在し、その中に「main()」関数も記述されています。

この「main()」は開始早々この「hal_entry()」を呼んでいるので「hal_entry()」は、実質「main()」と同じですね。

(こんな回りくどい実装をしているのは「main()」を直接いじれなくなるRTOSを使う場合を想定している旨が、関数の上のコメントに書いてありますね。)

追記した部分ですが「c」という変数を定義した後に「R_SCI_UART_Open()」という関数を呼んでいます。

これでUARTスタック、すなわちシリアルポートを使用する準備をします。

その後、whileループに入ります。

ループの冒頭で「R_SCI_UART_Read()」という関数を呼んでいます。

これは、シリアル通信の受信を行う関数です。

この関数は、受信が終わるまでロックする…ということもなく、素通りします。

受信ができたらその時点で、受信データは関数に渡した「c」のポインタに格納される仕組みとなっています。

さっきから頭に「R_SCI_UART_うんちゃら」という名前の関数が出てきていますが、これこそが今回追加したUARTスタックで提供されている関数です。

これらの関数は、今回使用するものの他にも多く用意されています。

詳しくは、こちらを御覧ください。

さて「R_SCI_UART_Read()」で受信を指示した後は、更にループに入ります。

このループは「received」が「true」にならない限り、ここでずっとグルグル回っているという処理、すなわち無限ループになります。

「received」の初期値は「false」ですから、最初は必ずグルグル回ります。

その間に受信完了割り込みが起きて、前述の「uart2_callback()」の中で「received」が「true」に変化したら、ようやくこの無限ループから次に進むことができます。

このループ、要はシリアル通信の受信待ちです。

ループを抜けると、次の受信に備えて「received」を「false」に戻しておきます。

この時には既に「c」の中には受信した1文字のデータが格納されているはずです。

次の「R_SCI_UART_Write()」関数で、その受信した「c」の中の1文字のデータを今度はそのまま送信します。

送信後は、また受信処理に戻り、それを永遠に繰り返します。

すなわち今回のアプリケーションは、シリアル通信で1文字受信すると、それと同じ1文字を送信する…というテストプログラムになります。


さて、思惑通りに動くかな?

物理的な接続です!

まずは、Arduinoとデバッガーとパソコンを接続します。

このページを参考にして欲しいのですが、唯一違うのがシリアル通信部分。

今回は変換ケーブルから出ている信号線ではなくて、Arduinoのピンソケットから取りましょう。

ピンソケットの位置は、今一度、このページの冒頭の図を参考に。

GNDSCI_TXD2およびSCI_RXD2の3本ですね。

こんな感じ。

物理的接続


USB/シリアル通信変換ケーブル側の配線は、上からTXDRXDGNDの順番でこんな感じです。

USB/シリアル通信変換ケーブル側の配線


これで「Hinagata」プロジェクトを走らせましょう。

まずは「プロジェクト・エクスプローラー」で「Hinagata」プロジェクトを右クリック、出てきたメニューから「プロジェクトのビルド」を左クリックしてください。

「e2 studio」 - 12

ビルドが終わったら、再び「プロジェクト・エクスプローラー」で「Hinagata」プロジェクトを右クリック、出てきたメニューから、今度は「デバッグ」を左クリック、更に表示されたメニューから「Renesas GDB Hardware Debugging」を左クリックします。

「e2 studio」 - 13


以下のダイアログが表示されたら「E2 Lite (ARM)」を選択状態にして、ダイアログ下部の「OK」ボタンをクリック。

「Renesas Hardware Debugging」ダイアログ - 1


再度、以下のダイアログが表示されたら「R7FA4M1AB」を選択状態にして、ダイアログ下部の「OK」ボタンをクリックです。

「Renesas Hardware Debugging」ダイアログ - 2


これでオッk…ああ!?

まあ、とりあえず「OK」ボタンをクリックで。

致命的なエラー


これを修正するには、このページの中盤くらいにある「エミュレーターから電源供給」の項目を「いいえ」に設定する必要があるようです。

デバッグの構成は「Hinagata.elf」という名前で、この時点で作成されています。

設定できたら「デバッグ」ボタンをクリックして、デバッグ開始です!

デバッグの構成


デバッグが開始されると、いくつかのポイントで自動的にブレークがかかります(2回くらいだっけか?)。

ブレークがかからなくなるまで「」ボタンをクリックしてプログラムを続行させましょう。

次に「TeraTerm」の起動です。

今回は、UARTスタックのプロパティで115200に設定したのですよね?

TeraTerm - 1


接続ができたら「TeraTerm」の画面でキーボードから何か文字を入力してみてください。

このように、入力した文字が「TeraTerm」にそのまま表示されれば動作確認は完了です!

TeraTerm - 2


「Hinagata」プロジェクトに無事UARTスタックが追加され、それが正常に動いていることが確認できました。

今回はUARTスタック、すなわちシリアル通信のライブラリを追加しましたが、I2CやSPIなどの他の通信の場合でも、FSPの使い勝手は概ね一緒です。

更には、AD変換やタイマーなど、FSPを使えばデバイスドライバを作成することなく簡単にこれらの機能をファームウェアで使用することが可能です。

便利な時代になりましたね~。


さて、今回はTOPPERS/ASPとは関係なく、フツーにFSPを使うだけの記事となってしまいました。

次回は、今回と同じプログラムを「TOPPERS/ASP Arduino UNO R4版」で動かす例を紹介します。

便利なFSPとTOPPERS/ASPを組み合わせて使うことができますよ!

あとは、今回のプログラムは受信待ちに「received」をフラグに無限ループを使うという、ある意味でダサい実装となってしまいました。

それがTOPPERS/ASPなどのRTOSを使用することで、どれだけスマートな実装になるのかも説明させていただきます。


…なにげに前回の投稿から2ヶ月も経っていたのですね。

ブログを書くのも趣味の一つなのですが、本業が忙しくてそれができないようだと、ライフワークバランスが崩壊しているなぁ~…と思います。

ライフのためのワークであって、ワークのためのライフでは本末転倒だと思う今日このごろです。


<続く>

2024年5月1日水曜日

MLAA License

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ライセンスの目次はこちらです。


 名称:「MLAAライセンス」(MLAA)


Raytrace no arealight


タイプ:

・コピーレフト…×

・ライセンス文の掲示…〇(ソースコード頒布のみ)

・コピーライト(著作権)…〇(ソースコード頒布のみ)

・その他…〇(バイナリ頒布のみ)


原文:


  • Copyright: 2010 Jorge Jimenez (jorge@iryoku.com)
  •      2010 Belen Masia (bmasia@unizar.es)
  •      2010 Jose I. Echevarria (joseignacioechevarria@gmail.com)
  •      2010 Fernando Navarro (fernandn@microsoft.com)
  •      2010 Diego Gutierrez (diegog@unizar.es)
  •      2011 Lauri Kasanen (cand@gmx.com)

  • Redistribution and use in source and binary forms, with or without
  • modification, are permitted provided that the following conditions are met:
  • .
  • 1. Redistributions of source code must retain the above copyright notice,
  •     this list of conditions and the following disclaimer.
  • .
  • 2. Redistributions in binary form must reproduce the following statement:
  • .
  •     "Uses Jimenez's MLAA. Copyright (C) 2010 by Jorge Jimenez, Belen Masia,
  •     Jose I. Echevarria, Fernando Navarro and Diego Gutierrez."
  • .
  •     Only for use in the Mesa project, this point 2 is filled by naming the
  •     technique Jimenez's MLAA in the Mesa config options.
  • .
  • THIS SOFTWARE IS PROVIDED BY THE COPYRIGHT HOLDERS AND CONTRIBUTORS ``AS
  • IS'' AND ANY EXPRESS OR IMPLIED WARRANTIES, INCLUDING, BUT NOT LIMITED TO,
  • THE IMPLIED WARRANTIES OF MERCHANTABILITY AND FITNESS FOR A PARTICULAR
  • PURPOSE ARE DISCLAIMED. IN NO EVENT SHALL COPYRIGHT HOLDERS OR CONTRIBUTORS
  • BE LIABLE FOR ANY DIRECT, INDIRECT, INCIDENTAL, SPECIAL, EXEMPLARY, OR
  • CONSEQUENTIAL DAMAGES (INCLUDING, BUT NOT LIMITED TO, PROCUREMENT OF
  • SUBSTITUTE GOODS OR SERVICES; LOSS OF USE, DATA, OR PROFITS; OR BUSINESS
  • INTERRUPTION) HOWEVER CAUSED AND ON ANY THEORY OF LIABILITY, WHETHER IN
  • CONTRACT, STRICT LIABILITY, OR TORT (INCLUDING NEGLIGENCE OR OTHERWISE)
  • ARISING IN ANY WAY OUT OF THE USE OF THIS SOFTWARE, EVEN IF ADVISED OF THE
  • POSSIBILITY OF SUCH DAMAGE.


日本語訳:


  • Copyright: 2010 Jorge Jimenez (jorge@iryoku.com)
  •      2010 Belen Masia (bmasia@unizar.es)
  •      2010 Jose I. Echevarria (joseignacioechevarria@gmail.com)
  •      2010 Fernando Navarro (fernandn@microsoft.com)
  •      2010 Diego Gutierrez (diegog@unizar.es)
  •      2011 Lauri Kasanen (cand@gmx.com)

  • 以下の条件が満たされる場合、修正の有無にかかわらず、
  • ソースおよびバイナリ形式での再配布および使用が許可されます:
  • ,
  • 1. ソース コードを再配布する場合は、上記の著作権表示、このライセンス文、
  •    および下に記述する免責事項を保持する必要があります。
  • .
  • 2. バイナリ形式で再頒布する場合は、次のステートメントを掲示する必要があります:
  • ,
  •     「JimenezのMLAAを使用しています。Copyright (C) 2010 by Jorge Jimenez、Belen Masia、
  •     Jose I. Echevarria、Fernando Navarro、Diego Gutierrez」
  • ,
  •     Mesaプロジェクトでのみ使用する場合、この条文2は、Mesaのコンフィグレーション・オプションで
  •     「technique」に「Jimenez's MLAA」という名前を付けることで満たされます。
  • ,
  • このソフトウェアは、<著作権所有者>と協力者によって「ありのまま」で提供され、
  • 明示的か黙示的かを問わず、商品性および特定目的への適合性の暗黙の保証を含む、
  • またそれらに限定されない、いかなる保証もしません。
  • いかなる場合も<著作権所有者>と協力者は契約に沿った行為か否かを問わず、
  • 損害発生の原因如何を問わず、
  • かつ責任の根拠が契約か厳格責任か(過失その他の)不法行為か否かを問わず、
  • 仮にそのような損害が発生する可能性を知らされていたとしても、本ソフトウェアの使用によって発生した
  • (代替品または代用サービスの調達、使用の喪失、データの喪失、利益の喪失、業務の中断も含む、またそれらに限定されない)
  • 直接損害、間接損害、偶発的な損害、特別損害、懲罰的損害、または結果損害について、
  • 一切責任を負わないものとします。


解説:

「MLAA」とは「Morphological Antialiasing」の略で、コンピューターグラフィックでは欠かせないアンチエイリアスの技法の一つです。

このライセンスは、Jorge Jimene氏を中心とするコミュニティが開発したアルゴリズムを含むグラフィック・ライブラリの一部に適用されています。

特徴は、ソースコード頒布か、バイナリ頒布かによって再配布の条件が異なることです。

バイナリ頒布の場合は、四条項BSDライセンスなどと同様、謝辞の掲示が必要になります。

このライセンスに限り謝辞の掲示の回避策も言及されていますが、このような条件は「真のオープンソース・ソフトウェアではない」とする意見もあり、しばしば議論となっています。


適用例:

「libgl1-mesa-dri」、「libglapi-mesa」、「libglapi-mesa」など、OpenGLなどのグラフィックAPIのオープンソース実装である「MESA」で使用されるライブラリの一部に適用されています。


頒布のために執るべき行動:


ソースコード頒布の場合:

ライセンス条文1により、ソースコードの改変の有無に関わらず、冒頭に記述されるこのライセンス文をそのまま改変することなく配布しましょう。

また同条文によるコピーライト(著作権)は、上記を守ることによって自動的に条件が満たされます。


バイナリ頒布の場合:

著作権表示やライセンス文の掲示の代わりに、以下の「その他:」で触れる謝辞を掲示する必要があります。


その他:

ライセンス条文2により、バイナリ頒布の場合、指定されている謝辞を掲示する必要があります。

但し、この条文2は、該当のソフトウェアをMesaプロジェクトでのみで使用し、且つコンフィグレーションの際に「technique」オプションで「Jimenez's MLAA」を選択することを条件に回避することができます。

(結構専門的な知識が必要なので、無理に回避しようとしない方が無難です。)

掲示は、このライセンスのソフトウェアを含む製品の取扱説明書やWebページなど、必ず容易にユーザーの目に触れる形で記述しましょう。

2024年4月24日水曜日

BSD 4-Clause License

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ライセンスの目次はこちらです。


名称:「四条項BSDライセンス」(BSD-4-clause)


BSDライセンス・ロゴ


タイプ:

・コピーレフト…×

・ライセンス文の掲示…〇

・コピーライト(著作権)の掲示…〇

・その他…〇


原文:


  • Copyright (c) <year>, <copyright holder>
  • All rights reserved.

  • Redistribution and use in source and binary forms, with or without
  • modification, are permitted provided that the following conditions are met:
  • 1. Redistributions of source code must retain the above copyright notice,
  •    this list of conditions and the following disclaimer.
  • 2. Redistributions in binary form must reproduce the above copyright notice,
  •    this list of conditions and the following disclaimer in the documentation
  •    and/or other materials provided with the distribution.
  • 3. All advertising materials mentioning features or use of this software
  •    must display the following acknowledgement:
  •    This product includes software developed by the <organization>.
  • 4. Neither the name of the <organization> nor the names of its contributors
  •    may be used to endorse or promote products derived from this software
  •    without specific prior written permission.

  • THIS SOFTWARE IS PROVIDED BY <COPYRIGHT HOLDER> ''AS IS'' AND ANY
  • EXPRESS OR IMPLIED WARRANTIES, INCLUDING, BUT NOT LIMITED TO, THE IMPLIED
  • WARRANTIES OF MERCHANTABILITY AND FITNESS FOR A PARTICULAR PURPOSE ARE
  • DISCLAIMED. IN NO EVENT SHALL <COPYRIGHT HOLDER> BE LIABLE FOR ANY
  • DIRECT, INDIRECT, INCIDENTAL, SPECIAL, EXEMPLARY, OR CONSEQUENTIAL DAMAGES
  • (INCLUDING, BUT NOT LIMITED TO, PROCUREMENT OF SUBSTITUTE GOODS OR SERVICES;
  • LOSS OF USE, DATA, OR PROFITS; OR BUSINESS INTERRUPTION) HOWEVER CAUSED AND
  • ON ANY THEORY OF LIABILITY, WHETHER IN CONTRACT, STRICT LIABILITY, OR TORT
  • (INCLUDING NEGLIGENCE OR OTHERWISE) ARISING IN ANY WAY OUT OF THE USE OF THIS
  • SOFTWARE, EVEN IF ADVISED OF THE POSSIBILITY OF SUCH DAMAGE.


日本語訳:


  • Copyright (c) <年>, <著作権所有者>
  • All rights reserved.

  • 以下の条件が満たされる場合、修正の有無にかかわらず、
  • ソースおよびバイナリ形式での再配布および使用が許可されます:
  • 1. ソース コードを再頒布する場合は、上記の著作権表示、このライセンス文、
  •    および下に記述する免責事項を保持する必要があります。
  • 2. バイナリ形式で再頒布する場合は、上記の著作権表示、このライセンス文、
  •    および下に記述する免責事項を、頒布物とともに提供されるドキュメントおよび/または
  •    その他の資料に転載する必要があります。
  • 3. このソフトウェアの機能または使用について言及するすべての広告資料には、
  •    次の謝辞を掲示する必要があります。
  •    「この製品には、<著作権者>によって開発されたソフトウェアが含まれています。」
  • 4. <著作権者>の名前もその貢献者の名前も、書面による事前の特別な許可がない限り、
  •    このソフトウェアから派生した製品を広報または宣伝するために使用することはできません。

  • このソフトウェアは、<著作権所有者>によって「ありのまま」で提供され、
  • 明示的か黙示的かを問わず、商品性および特定目的への適合性の暗黙の保証を含む、
  • またそれらに限定されない、いかなる保証もしません。
  • いかなる場合も<著作権所有者>は契約に沿った行為か否かを問わず、
  • 損害発生の原因如何を問わず、
  • かつ責任の根拠が契約か厳格責任か(過失その他の)不法行為か否かを問わず、
  • 仮にそのような損害が発生する可能性を知らされていたとしても、本ソフトウェアの使用によって発生した
  • (代替品または代用サービスの調達、使用の喪失、データの喪失、利益の喪失、業務の中断も含む、またそれらに限定されない)
  • 直接損害、間接損害、偶発的な損害、特別損害、懲罰的損害、または結果損害について、
  • 一切責任を負わないものとします。


解説:

BSDライセンスと呼ばれるものは、コピーレフトではないオープンソース・ライセンスの中では最もメジャーなライセンスです。

これにはいくつかの種類がありますが、この「四条項BSDライセンス」が最も古く制約の厳しいもので「旧BSDライセンス」とも呼ばれています。

特徴的なのは、コピーライト(著作権)に加え、謝辞の掲示も行わなければならないことです。

ライセンス条文3において<著作権者>を含めた謝辞を掲示せよ、としているのに対し、ライセンス条文4において<著作権者>を宣伝に使うな、と一見矛盾しているように見えます。

これはあくまで、主に商用利用する際に自社の製品の販売促進、いわゆるマーケティングのために<著作権者>の名前を使うな、ということであり、それ以外の目的の資料等には謝辞を記載しなさい、という意味です。

つまり、<著作権所有者>の開発したソフトウェアを使っているので、ウチの製品はオススメですよ~!ってニュアンスがダメなわけです。

(以前の記事の内容は間違ってました、すいません!)


適用例:

「Newlib」など、またそれを含む「GCC」などの主要なオープンソース・ソフトウェアに含まれます。

大半が「三条項BSDライセンス」などの修正ライセンスに移行していますが、未だ数多くのソフトウェアに適用されています。


頒布のために執るべき行動:


ソースコード頒布の場合:

ライセンス条文1により、ソースコードの改変の有無に関わらず、冒頭に記述されるこのライセンス文をそのまま改変することなく配布しましょう。

また同条文によるコピーライト(著作権)は、上記を守ることによって自動的に条件が満たされます。


バイナリ頒布の場合:

ライセンス条文2により、このライセンス文を掲示する必要があります。

また同条文により、ライセンス文の先頭に記述されているコピーライト(著作権)を掲示する必要があります。

これらの掲示は、このライセンスのソフトウェアを含む製品の取扱説明書やWebページなど、必ず容易にユーザーの目に触れる形で記述しましょう。


その他:

ライセンス条文3により、ソースコード/バイナリと頒布の形式に問わず、指定されている謝辞を掲示する必要があります。

掲示は、このライセンスのソフトウェアを含む製品の取扱説明書やWebページなど、必ず容易にユーザーの目に触れる形で記述しましょう。

2024年4月23日火曜日

Beer-ware License

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ライセンスの目次はこちらです。


名称:「Beer-ware License」(Beerware)


ビールのイラスト


タイプ:

・コピーレフト…×

・ライセンス文の掲示…〇

・コピーライト(著作権)の掲示…×

・その他…〇


原文:


  • "THE BEER-WARE LICENSE" (Revision 42):
  • <phk@FreeBSD.ORG> wrote this file. As long as you retain this notice you
  • can do whatever you want with this stuff. If we meet some day, and you think
  • this stuff is worth it, you can buy me a beer in return Poul-Henning Kamp


日本語訳:


  • 「ビールウェアライセンス」 (改訂 42):
  • <phk@FreeBSD.ORG>がファイルを書きました。
  • このライセンス文を保持している限り、この著作物に関して何をしても構いません。
  • いつか出会った時、この著作物に価値があると思ったら、お礼にポール・ヘニング・カンプにビールを奢ることができます。


解説:

デンマークのソフトウェア開発者、ポール・ヘニング・カンプ氏の考案したユニークなOSSライセンスです。


適用例:

「libbsd0」に含まれる「man/mdX.3bsd」、「src/hash/md5hl.c」、「src/hash/helper.c」など。


頒布のために執るべき行動:


ソースコード頒布の場合:

頒布の形式の言及なしに「このライセンス文を保持している限り…」とあるため、ソースコードの改変の有無に関わらず、冒頭に記述されるこのライセンス文をそのまま改変することなく配布しましょう。


バイナリ頒布の場合:

頒布の形式の言及なしに「このライセンス文を保持している限り…」とあるため、このライセンス文を掲示した方が良いでしょう。

掲示は、このライセンスのソフトウェアを含む製品の取扱説明書やWebページなど、必ず容易にユーザーの目に触れる形で記述しましょう。


その他:

街角でポール・ヘニング・カンプ氏に出会ったら、感謝の気持ちを込めてビールをご馳走してあげてくださいw

2024年4月21日日曜日

オープンソース・ソフトウェアのライセンス

仕事で自社の製品に組み込まれているオープンソース・ソフトウェアのライセンスについての調査を命じられました。

私も今までの経歴からオープンソースのソフトウェアを利用して製品開発を行ってきましたので、その手の書籍も熟読しており、人より少しだけライセンスについての知識は持ち合わせているつもりだったのですが…。

OSSライセンスの教科書


これが大苦戦中!

例えば、組み込みLinuxを使用した製品があったとして、その中にはカーネルを始めブートローダーやルートファイルシステムに含まれるものなど、下手をすると数百のオープンソース・ソフトウェアが含まれます。

そして、それらには各々のライセンスが設定されています。

作業としては、地道にこれらを一つ一つ調べて表にしていきます。

このリンクのようなページもありますし、面倒だが楽勝なお仕事だと…私もね、思っていた時期がありましたよ…。

作業を始めてから直ぐに困難に直面しました。

全てが「GPL」だの「BSD」だのの有名なライセンスならまだ良し。

オープンソース・ソフトウェアの数が膨大であることと同時に、そのライセンスも実に多様であることが分かりました。

初めて見るマイナーなライセンスや、古すぎて忘れ去られたライセンス、はたまた、そのソフトウェア開発者が個人で定めたオリジナルなライセンスなどなど…。

会社の法務・知財部門が知りたいのは、ザックリ主に以下の項目でしょう。


1.コピーレフトのライセンスか否か?

2.ライセンス文の掲示が必要かどうか?

3.コピーライト(著作権)の掲示が必要かどうか?

4.それ以外の条件があるかどうか?(「謝辞」の掲示など


これらに絞って、各々のライセンスを調べていけば良いのですが、こういった法律が絡む文章は極めて難解、かつ曖昧な文言で記述されており、英語力の乏しい私には重労働なのです。

Google先生に翻訳をお願いしても、何やらそれらしいが、よくわからない日本語訳が返ってきます。

ならば、ということで、マイナーなライセンスを含めて一覧でわかりやすく日本語で解説しているようなWebページがないかと検索してみましたが見つからず…。


…う~ん、そういうページがないなら自分で作るかぁ。


というわけで、今後、このブログではオープンソース・ライセンスに関する備忘録を呟くことがあるかもしれません。

いやぁ、コーディングとかではなく地味な仕事なので、調査の結果が誰かの役に立つかも!?というモチベーションが欲しいというのが本音です。


重要だけど、つまらない仕事ってありますよね。

でも大人なんだから「やりたい仕事」と「やるべき仕事」の分別を付けないと…。

Simplicity Studioを使ってみた! その3

前回からの続き です。 このテーマを最初からご覧になる場合は こちら からどうぞ。 「Simplicity Studio」でプログラミング インストールしたSilicon Labs社のマイコン用の統合開発環境「 Simplicity Studio 」で、テストプログラムを動かして...